この記事では、婦人科検査における内診・子宮頸がん（子宮頸部細胞診）検査・経腟超音波（エコー）検査についてご紹介します。

婦人科での検査は子宮頸がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍だけでなく、子宮筋腫や卵巣嚢腫などの良性腫瘍や子宮内膜症などの良性疾患を見つけることも可能です。ただし、婦人科でのそれぞれの検査の役割は異なるため、検査項目により、診断できる病気が異なります。

婦人科検診とは？検査によってわかることが違います

一般的には「婦人科検診」というと「 子宮頸がん（子宮頸部細胞診）検査 ＋婦人科内診 」を示します。これは子宮頸部のがんの診断はできますが、その他の子宮や卵巣などの疾患の診断には不十分です。
一方、「経腟超音波（エコー）検査」では、内診でわからない小さな疾患や、卵巣の疾患を見つけることができます。
いずれも、内診台と呼ばれる台の上で行う検査です。カーテンによって目線の高さで仕切られているため、医師と顔を合わせずに検査を行いますが、ご希望の方はカーテンを開けて直接医師とお話しすることもできます。

婦人科検診の検査項目と、検査でわかる病気を詳しく解説

それでは婦人科検診で行われる、それぞれの婦人科の検査項目について解説します。

内診

まず、外陰部に異常がないか、視診で確認します。次に、腟鏡という器具を腟にいれて、腟壁や子宮口に異常がないか観察します。出産や性行為の経験のない方には、その人にあった大きさの腟鏡を使用しますのでご安心ください。
そして、腟内と腹壁から両方の手で挟むようにして触診し、子宮の大きさや可動性の良否、卵巣の腫れがないか確認します。

子宮頸がん（子宮頸部細胞診）検査

子宮の入り口を綿棒やブラシなどの器具で擦るようにして細胞を採取し、細胞の形から、子宮頸がんやその前がん病変の有無を検査します。子宮頸がん検診は子宮頸がんの早期発見と死亡率の減少を目的に行われます。

▷ この検査でわかる病気

■ 子宮頸がん
子宮頸部細胞診で、がん細胞の有無や前がん病変の有無を判断します。
また、原因となるウイルスの有無を調べるためのHPV検査もあります。
（子宮頸がんについて詳しくはこちら）

経腟超音波（エコー）検査　

腟からプローブと呼ばれる細い棒をいれて、超音波をあてて画像化し、子宮や卵巣を観察します。基本的に痛みのない検査です。子宮全体の様子や子宮内膜の厚み、卵巣の大きさなどから、疾患の所見を見つけたり、内診ではわからない、より小さな病変を見つけることができます。
当院では、受診者様用のモニターも用意しており、疾患が見つかった場合、ご自身の目で確かめていただきながら説明しています。
経腟超音波（経腟エコー）検査のもっと詳しい解説はこちら        

▷ この検査でわかる病気

■ 子宮筋腫
ある程度の大きさになると、婦人科内診でわかることがありますが、小さいサイズの筋腫の発見や、確定診断するには、経腟超音波での検査が必要です。
（子宮筋腫について詳しくはこちら）

■ 子宮内膜症
内膜症はできる場所によって、適した検査が異なります。子宮の筋層にできる子宮腺筋症や、卵巣にできるチョコレート嚢腫の場合や、子宮周辺に発生する場合は、経腟超音波によって見つけることができます。それ以外の場所にできる場合は、触った場所の痛みによってみつかるため、内診の方が適している場合もあります。
（子宮内膜症について詳しくはこちら）

■ 卵巣腫瘍（卵巣嚢腫：良性の卵巣腫瘍、卵巣がん：悪性の卵巣腫瘍）
ある程度の大きさになると、内診でわかることがありますが、卵巣のサイズに大きな変化のない場合や、腫瘍の性質、良性か悪性かを診断するには、経腟超音波での検査が必要です。

■ 子宮体がん
子宮内膜が厚くなるため、経腟超音波検査でのスクリーニングや内診による子宮のチェックを行うことができますが、最終的には子宮内膜細胞診で判断します。子宮頸がん検診である子宮頸部細胞診だけでは、発見できないことが多いです。

婦人科検診を受診する時の注意点「月経（生理）でも検査はできる?」

婦人科の検査を受ける際、「月経（生理）でも検査ができるのか？」というに点を気にされる方はとても多いです。
月経中でも、婦人科検査（子宮頸部細胞診・経腟超音波など）は実施可能です。

子宮頸がん（子宮頸部細胞診）検査を月経中に行うと、血液により充分な細胞量が採取できなかったり、出血の影響を受け検査の質が落ちる場合もあるので、不安な方は月経周期を考慮して受診時期を調整することがおすすめです。

あなたは「経腟超音波（経腟エコー）検査」を受けていますか？

婦人科の検査の中でも、特に「経腟超音波検査（経腟エコー）」は、様々な疾患を見つけることができるにもかかわらず、企業の健康診断や自治体の子宮頸がん検診に含まれていないことがほとんどです。ぜひご自身が「婦人科検診」や「子宮頸がん検診」として受診している項目も一度見直してみてください。

また、企業の健康診断を受ける場合は、オプションで追加することがほとんどです。
しかし、企業や健保によっては補助の対象となる場合もあるので、ご自身の所属している企業や健保を確認してみることをおすすめします。

経腟超音波（経腟エコー）検査の詳しい解説はこちら

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