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乳がんとは?その症状と必要な検査について
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乳がんの症状やリスク要因から早期発見につながる検査方法まで、乳がんについて詳しく解説します。
乳がんは女性がなりやすいがん1位!
国内の乳がん患者の発症率は増加傾向にあり、年間9万1605人(2017年)と女性が罹るがん全体の21%を占め日本人女性に最も多い悪性疾患です。現在、生涯で乳がんを罹患する割合は10.6%であり、 9人に1人が乳がんを発症するとされています。
乳がんは、40代後半と60代前半に発症のピークがありますが、45歳未満の発症も増加しており年間1万926人(2017年)に上ります。30代後半から増えてきて、育児や仕事などで女性が一番忙しい年齢から急増するがんです。
他のがんと比べて若く発症するケースもあるため、「まさか自分はまだがんに罹らないだろう」と定期受診をしないことも多く、検診の必要性が高まっています。
罹患率が高い一方で、検診の普及による早期発見の増加や薬物療法の発展により5年相対生存率92.3%、 10年相対生存率79.3%と乳がん患者さんの生存率は改善傾向にあります。
乳がんは女性の罹患率が第1位ですが、早期発見で治療すれば、治すことができるがんのため、定期的な検診受診が重要です。
乳がんの症状とは?
乳がんの症状として一番多いのは、しこりの自覚です。また、えくぼみたいな乳房のひきつれなどの皮膚の症状を自覚することもあります。乳管(ミルクの管)にがんが発生したときには、茶褐色の分泌物を伴うことがあります。
乳がんが進行すると、わきの下のリンパ節に転移することがあるため、わきの下のしこりや腫れを自覚することもあります。
乳房が痛むことは通常のことですので、痛みに敏感になる必要はありません。しかし「痛みが出ていないから大丈夫」と考えるのは危険で、初期においては痛みが全くでないことの方が一般的です。
乳がんのリスク要因は?
乳がんが増えている理由としては食生活の変化が挙げられます。乳がんも大腸がんなどと同じで肥満による影響が大きいがん腫です。閉経後は肥満によるがんのリスクは確実に上がりますし、閉経前でもリスクを高めることが明らかになっています。
他にも、アルコールや喫煙の愛飲者、糖尿病などの持病がある方は注意が必要です。
その他のリスクに関しては下記の表を参考にしてください。
【食生活・生活習慣・持病と乳がん発症リスクのまとめ】
また出産経験のない方の乳がんリスクは2倍になるとも言われており、初経が早いことや閉経が遅いことも乳がんのリスク因子となっています。
血縁者に乳がん患者がいらっしゃる方は特に意識して検診を受けられていると思いますが、実は9割は遺伝とは無関係に発症しているのです。
乳がんは定期的な検診で早期発見できる!
乳がんを早期発見するためにはセルフチェックもとても有用ですが、マンモグラフィや超音波検査を用いた乳がん検診を定期的に受診することが最も重要です。
「対策型検診」と「任意型検診」の違い
●対策型検診とは
対策型検診は国が科学的根拠に基づいて効果があると定めた検診で、市町村の事業として行われるように指針を示しています。
厚生労働省の指針では40歳以上の女性に2年に1回マンモグラフィを受けることをお勧めしています。しかし、あくまで全女性人口の生存率が改善できるという根拠に基づいて、税金の投じ方や検診の年齢、頻度を決めたものです。つまり、公費を使って検診を整備すると、若年罹患者や突発的な乳がん発症者など守りきれない領域が生じてしまいます。決して40歳未満だから関係ない、2年に1回受けていれば安心ということではないのです。
●任意型検診とは
任意型検診は自分の意向に沿って受けることができる検診です。汎用的な対策型検診にはどうしても限界があるので、自分が必要な検診を自分で選んで受けることが大切です。
福利厚生として企業の任意で検診が設置されていることもありますが、必要な項目が網羅できていない可能性もありますので内容を確認してみてください。
乳がんの早期発見には任意型検診が必要
がんを小さいうちに見つけ治療を最小限にして、家族や仕事のことを考慮しながら健やかな生活を営むことを誰もが望まれると思います。任意型検診は自分のタイミングやニーズに応じて受けることができます。がんの治療も個別化が当たり前の時代となり、検診も同様なのです。
また、任意型検診はかかりつけで受診できるため、通常の自分の身体を知ってくれており、以前の情報と比較しながら診ていくことができます。些細な初見を見つける方法は比較をすることが一番大切です。健康の悩みは一人で抱えるものではないので、いつもの私を知ってくれている、という安心感は大切ですよね。明るい場所での羞恥を伴う検査なので、女性のスタッフが対応してくれる施設を選ぶこともできます。
自分の身体のことに目を向けられていなかった方こそ、検診への考え方を見直して自分を守る機会をつくっていくといいですね。
乳がん検査の種類
乳がん検診には主に2種類の検査があります。
マンモグラフィ(乳房X線撮影)検査
乳房専用のX線撮影(レントゲン)で乳房全体の小さな異常初見もみつけることができます。乳腺を拡げた状態で撮影するために、乳房を2枚の板で固定します。立体的なに乳房を薄くすることで病変を鮮明に写し出すことができるだけでなく、放射線の照射量を少なくすることができます。
乳腺は大胸筋から剥がすようにして薄くしますので、靭帯が緩く乳腺が柔らかい時が適しています。基本的には生理前に胸が張ること多いですが、自分のお胸を確認して柔らかい時期を把握しながら受診日を決めてみてください。
マンモグラフィは唯一乳がん学会でも認められている根拠のある検査ですが、専門の施設でしか受けられないため、受診前に検査項目を確認してみてください。
乳房超音波(エコー)検査
ゼリーを塗った乳房の上からプローブという小さな器具をあてて超音波を画像化する検査です。手で触ってもわからないような小さなしこりを見つけることができます。しこりの性質に関して簡便にわかりますが他の部位を見逃す可能性もあるため、マンモグラフィとの併用がおすすめです。放射線を使用していないため、妊娠中の方や授乳中の方はエコー検査を受けましょう。
マンモグラフィと乳房超音波(エコー)検査の違いについて詳しい解説はこちら
検査の組み合わせは年齢や乳腺の状況、妊娠の有無などにもとづいて検討します。受けた方がいい検査がわからないときは乳がん検診に対応している病院や医療機関に相談してみましょう。
まとめ:乳がんの早期発見には定期的な検診を
乳がんは誰にでも発症し得るとても多い病気ですが、早く見つけて治療に繋げることができます。そのためにも、毎年検診に行くことが重要です。
検診は一番自分に目を向ける日なので、その機会を活かして、正しい情報を知り正しく自分を把握することが大切です。
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監修:乳腺外科顧問 田村宜子医師
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